MOEKO KAGEYAMA 2014-2019
By MARUEIDO JAPAN Follow | Public

この度、MARUEIDO JAPANでは「MOEKO KAGEYAMA 2014-2019」を開催いたします。

2019年に武蔵野美術大学大学院を修了した影山萌子は、その小さな体で不可思議な世界を描いている。しかし、彼女にとってそれは作られた架空の物語ではなく、日常で見た身近なことから来る「実感」である。大都会東京の中心部で育った彼女にとって、見慣れた都市風景は常に不安に満ちていると言う。目の前の光景に対する疑いや違和感、恐れなどをキャンバスに描き、小さな粘土の立体を作ることで視覚化し、世界との距離を埋め、繋がろうと試みている。描かれた仮想的にも見える風景は徐々に固定観念を揺さぶり融解し、やがて他者である我々の日常と繋がっていくような感覚を呼び起こす。
彼女の作品を前に、「リアリティーとは何か」、大きな問題が軽やかにしかし強く現れ、そして深く問うことになる。

学部時代から現在まで数年の変遷ですが、この機会に確認したい欲求に私自身が駆られ、今展を企画いたしました。

是非この機会にご覧いただければ、幸甚に存じます。

ディレクター
沖一成



-Statement-

バスの窓から街を眺めていて、いとも簡単に、自分が立ち入れない建物の中を覗けてしまうことがあると、とても奇妙な感覚に襲われる。
実体を伴った街並みに自分のつま先をぶつけることはできるが、その中身は途方もなく遠く、得体の知れないもののように感じられる。

自分のリアリティーの延長に世界のリアリティーが無いことを実感する時、自然と景色が浮かんでくる。
それは燃え盛る観光地や、不格好なモニュメントや、役割を持たない装置といった姿で現れる。

最近はそれが、「物心がついたとき」の再現なのでは無いかと思うようになった。
ここで言う「物心がついたとき」とは、個人と世界が対峙し、お互いのリアリティーがこすれ合った結果、つかの間靄が晴れたように感じる瞬間のことである。

私にとってこの世界は、立ち入れない敷地に立っているよその家のようなもので、その窓の中を少しずつ覗き見るようにして認識し、作品として再びこの世界に定着することを試みているのだと思う。

影山萌子